PASは2024年4月29日に廃止されます
2023年11月11日にAWS Certified SAP on AWS – Specialty(PAS-C01)にスコア844で合格しました。
ただ試験に出てくるAWSサービス自体は、他の試験と比べて少ないので、試験勉強自体はあまり時間をかけずに合格できるのではと思います。
実務でSAPを触ったことがあるという方は、より短い時間で試験合格を目指せると思います。
本記事では、PAS-C01の試験概要と合格するための勉強時間、試験対策などをお伝えします。
これから試験を受ける方の参考になれば幸いです。
- IT系の保有資格:AWS認定12冠(CPP、SAA、DVA、SOA、SAP、DOP、ANS、SCS、MLS、DAS、DBS、PAS(New!))、基本情報技術者、G検定
- 経歴:SE 3年目
- AWS使用歴:システム構成検討、環境構築を8ヶ月ほど
Contents
AWS Certified SAP on AWS – Specialtyとは?
試験概要
PAS試験の公式概要サイトによると、認定試験の説明は以下の通り記載されています。
AWS Certified: SAP on AWS – Specialty
- レベル: 専門知識
- 時間: 170 分
- コスト: 33,000円
- 形式: 選択式問題(65問)
- テスト方法: Pearson VUE を通じたテストセンターまたはオンライン監督付き試験
この認定は、AWS での SAP ワークロードの設計、実装、移行、および運用に関する専門知識を実証します。組織は、AWS 上の SAP ワークロードの最適化における重要な知識とスキルを備えた適切な人材を特定して育成することができるようになります。
AWS Certified SAP on AWS – Specialtyサイトより
PASの試験においては、AWS上で要件に応じたSAP構成を設計できることが重要です。
例えば、以下のようなポイントを押さえておくと良いでしょう。
- 可用性に基づいた構成
1.ホットスタンバイ:短いRPO、RTOが求められる場合
2.ウォームスタンバイ:中くらいのRPO、RTOが求められる場合
3.コールドスタンバイ:長いRPO、RTOが許容できる場合 - オンプレミスからAWSへのSAPランドスケープの移行
1.同種間移行(SAP S4/HANAをオンプレミスからAWSに移行する。など)
・HANA SystemReplication
・AWS MGN
・AWS Launch Wizard
2.異種間移行(オンプレミスのSAP ECCをAWSのSAP S4/Hに移行する。など)
・SUM DMO (Software Update Manager with Database Migration Option)
・SAP export/import(SAP SWPM)
・AWS DataSync - 要件に基づいたDR(Disaster Recovery)戦略
1.同リージョンでのSYNC、SYNCMEMによるバックアップ
(RPOは短いが、リージョン単位での災害に弱い。)
2.別リージョンでのASYNCによるバックアップ
(RPOは長いが、リージョン単位での災害に強い。)
試験範囲
以下のAWS公式サイトのPAS試験範囲から、ポイントを抜粋します。
AWS Certified: SAP on AWS – Specialty 試験ガイド
まず各分野のパーセンテージは以下のようになっています。
第1分野 | AWS での SAP ワークロードの設計 | 30% |
第2分野 | AWS での SAP ワークロードの実装 | 24% |
第3分野 | SAP ワークロードの AWS への移行 | 26% |
第4分野 | AWS での SAP ワークロードの運用とメンテナンス | 20% |
合計 | 100% |
試験サイトに記載された受験対象とそれに対するポイントです。
- 5 年以上の SAP 経験&1 年以上の SAP on AWS での作業経験
→あると望ましいですが、経験がなくても試験を受験することが可能です。 - AWS クラウドで実行される SAP ソリューションを、AWS Well-Architected Framework で説明されているベストプラクティス、および SAP 認定とサポートの要件に沿って設計する能力
→費用対効果や最小のRPO、RTOなどの要件に応じた高可用性パターンの選択。
オンプレミスからAWS環境へのSAP HANA移行パターンの選択などを理解しておく。
PASの試験では、他のAWS試験と比べて、試験範囲になっているAWSサービスがあまり多くありません。
そのため覚えなければいけないことは少ないですが、AWS Launch WizardやAWS Backint Agentなど、AWS上でのSAPでよく使われるサービスについては出題される可能性が高いので、重点的に勉強しておくと良いでしょう。
PASの難易度は?
試験の難易度は、比較的易しい方だと思います。
実際に受験してみて感じた難易度は、SAP=ANS > MLS > DOP > DAS > SCS > PAS > DBS > SOA > SAA > DVA > CLFという感じでした。
PASは、出題されるサービスの範囲があまり多くないので、それほど試験勉強に時間がかかりませんでした。
試験ガイドに記載されているSAP用のAWSサービスに加えて、
IAMロールによる最小限の権限付与や、費用対効果の高いオンプレミスとAWS間の接続方法(Direct ConnectよりもSite-to-Site VPNの方が安い)などの基本的なAWSのベストプラクティスを理解しておくと良いでしょう。
PASの勉強時間は?
PASの学習に使った時間は 約23時間 でした。
スマホアプリで勉強時間を測っていました。
勉強時間の配分に関してはおおよそ以下のような感じです。
PASではUdemyでの講座受講とWeb問題集を解くのに多くの時間を使いました。
また僕自身は、SAPを実務で使ったことがなく、分からない用語も多かったので、SAPに関連するドキュメントやChatGPTを活用することで、用語を調べる時間も割と多かったです。
学習方法 | 時間配分 |
Udemy(講義) | 10時間 |
Web問題集 | 8時間 |
ドキュメント読む&ChatGPTで調べる | 4時間 |
メモ帳整理&確認 | 1時間 |
合計 | 23時間 |
PASの勉強方法
Tech StockのWEB問題集を解く
PASの模擬問題は91問解くことができます(2023.11.11時点)
比較的新しい試験区分ということもあり、問題の数自体はあまり多くありません。
しかし本番に近い問題に慣れておくという意味でも、絶対に解いておくことをおすすめします。
※PASを含めた専門知識の問題はプロフェッショナルプランに加入することで解くことができます。4,580円(税込)で90日間の利用が可能です
- PASの模擬問題は 91問
- プロフェッショナルプラン加入が必要
Udemy教材を活用
PASの学習にあたっては、以下の教材を購入しました。
なおUdemyは月に2,3度セールがあり、その時期は2,000円ほどで購入可能なので、セールのタイミングを狙って購入することをオススメします。
試験で使われる主要サービスに関するハンズオンに加えて、AWSへの移行パターンや高可用性設計のパターンなど、試験のポイントを学ことができました。(おすすめ度:★★★★☆)
ちなみに、こちらは英語教材です(日本語字幕[自動]はありです。)
- UdemyのPAS対策講座は英語版のみ(日本語の自動字幕はあり)
(試験で取り上げられる概念について分かりやすく説明されているのでオススメです。) - セール中に購入すれば、2,000円ほどで購入可能
AWS公式ドキュメント&技術文書を読む
PASで取り上げられる技術や要件に関しては、以下の技術文書を読んで学習しました。
SAP on AWS 技術文書
PASで使われるAWSサービスについては、日本語資料があまり揃っていません。そのため、Google Chromeで翻訳しながら読みました。
ブログを読む
参考になったブログのリンクを以下に掲載しておくので、ぜひ一度ご覧ください。
大口聡さんという方のブログです。SAPの概念が非常に詳しく説明されています。
AWS SAP on AWS Speciality 受験対策その1「学習リソース」
小西さんという方のブログです。PASの勉強方法の参考にしました。
AWS 認定 SAP on AWS – 専門知識(AWS Certified: SAP on AWS – Specialty)の学習方法
まとめ
PASの試験にあたっては、SAPの用語を覚えるのに一番苦労しました。
SAPに出てくるASCS、ERS、PPA、AASなど、それぞれがどのような役割をしているのかなど正直理解できていないところが多いです。
試験合格ということだけに注力するのであれば、SAPのシステムの中身を理解していなくとも、
SAPを設計する上での基本的な概念(DR戦略、IAMロール、オンプレミスとAWS間のデータ連携、移行)について学んでおくことで合格可能かと思われます。
本記事がこれからPASを受験する人にとって、少しでも参考になれば幸いです!
最後まで読んで頂きありがとうございました。
実務でSAPを触ったことがないので、SAP用語を覚えるのに少し苦労しました(SAProuter、SAP NetWeaver、SAP S4/HANAなど)